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A-1 卵を持った代謝性骨疾患の2例



写真1  カーペットカメレオン ♀
       Furcifer lateralis


口吻周囲の変形と腫れがみられ、舌も腫脹し、口が閉まりません。また、四肢も骨や関節の存在が触っても判らず、どの方向にもぐねぐねと曲がり、まるでゴム細工の手触りでした。


写真2 

口吻部の拡大。アゴを触っても、通常の硬さ、歯の存在を感じす、ぐにぐにと揉むことができます

写真3  内臓側面。卵を持っていました。

A:肝臓

B:卵巣(卵黄のみの卵)      

C:脂肪

D:腎臓

写真4 

消化管内に寄生していた線虫虫体は小さく、寄生数も確認できたものは数匹でした。便検査をすると、3種類の寄生虫が確認できました。

写真5 線虫卵

写真6 コクシジウムシスト

写真7 

分類不明。数は少なかったです。吸虫卵または繊毛虫類のシストのように思えます。

写真8  ピンクパンサー ♀
       Furcifer pardalis 


この個体も口吻、四肢が変形しゴムのような手触りです。

写真9、10、11 

顎を曲げています。ぐんにゃりとなり、歯や顎骨の存在を感じません。曲げた口吻は手を離しても元に戻らず、粘土細工のようです

写真12  内臓側面。この個体も卵をもっています。

     A:肝臓
     B:卵巣(卵黄のみの卵)
     C:脂肪(だいぶ縮小している)
     D:腎臓

写真13 

腎臓の拡大。まだらになっています。
外見上や、触診からもこれら2個体の骨の異常は明らかですが、レントゲンで見てみるとどうなっているのでしょうか。骨が正常な個体と比較してみましょう。

写真E 
カーペットカメレオン ♂
Furcifer lateralis

対照(正常例)として撮影。

写真F 
カーペットカメレオン ♀
最初に紹介した個体。

写真G 
ピンクパンサー ♀
2例目の個体。

写真E´、F´、G´

それぞれをうつぶせにした位置で撮影したもの。E、E´では頭蓋骨のメリハリも利いており、肘から先の骨が2本組合わさって構成されていることや(写真E´矢印)、尾の骨も1つ1つが観察できます。メスの例と比較してみて下さい。対照写真E、E´では、骨組織が他の筋組織などよりも白くはっきりと写っており、骨格が確認できます。
しかし、F、F´、G、G´では、頭蓋骨や四肢の骨格がほとんど、というより全くと言って良いほど判りません。これは、撮影条件によるものではなく、メス2例では骨組織からのカルシウムが溶け出し、本来ならE、E´のように白く写るべきカルシウムがほとんど存在していないためにこのように写っているのです。日頃から餌として与える昆虫類には、カルシウムを含む各種ミネラル、ビタミン豊富な食事を与えて育て(餌昆虫自体が栄養失調ではどうしようもない)、それら昆虫をカメレオンに給餌する際には定期的にカルシウムをまぶしてから食べさせること、そして十分に日光浴や紫外線ライトを利用することが、予防の上で必要です。
今回のメス2例は産卵期とも重なってカルシウムの需要がさらに増し、病気の進行に拍車がかかったものと考えられますが、ストック場や輸送時に極度の脱水を起こし、腎機能に異常をきたしていた可能性もあります。腎機能が低下すると、2次的にカルシウムの代謝が正常に行えなくなり、結果としてカルシウムの低下を招きます。購入後の状態や死亡までの飼育期間などが判らないので、どちらが原因とは言えません。


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