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放射線療法 | その他の治療方法 |
放射線療法 放射線を照射することにより癌細胞が増殖するために必要な遺伝子を直接・間接的に破壊して死滅させる方法です。 ![]() ![]() ![]() を失うが放射線療法では残すことができる) ![]() ![]() ![]()
放射線治療は活発に増殖する細胞に多く効果を発揮し、増殖が不活発なものには効果が低くなります。そのため周囲正常組織の中でも細胞分裂が活発なものは多く障害を受けてその副作用が早期(治療期間中)に発現し、分裂不活発な組織には遅く発生(数ヶ月~数年後)することになります。しかし、各正常組織は障害を受けても一定の時間をかけて元に修復できる能力があるため、早期に副作用が発現する組織(細胞分裂が活発)ではそれだけ修復速度も速く回復可能であり、それほど深刻ではありません。しかし遅く発生する部位(細胞分裂が不活発)の副作用に関しては、回復も遅くなるために障害もそれだけ重く、それゆえ遅発性の副作用は出さないことが重要です。正常組織では、それぞれ合計でどれくらいの放射線量を浴びると障害が出るかが分かっていますので、腫瘍への総線量はその周囲にある正常組織の遅発性障害が発現しない限度までに制限されます。また、一回で少量の放射線を照射するよりも大量の照射の方が遅発性障害を起こす確立がはるかに高くなりますし、一定の間隔をあけて頻回照射することにより障害を受けた正常組織は修復しても癌細胞は修復できない(つまり死滅して減る)という効果が得られます。このことから、放射線治療は一定の総線量を少ない線量に分割して、一定期間をあけながら頻回照射することが求められます(ただし、腫瘍の状況により例外あり)。放射線は狙った部位のみにきちんと照射しないといけませんから、ペットが動いてはいけません。そこで治療ごとに全身麻酔をかけて行うことになります。治療回数は治療目的や部位により異なります。外科手術と同時に実施する場合(術中照射)や数回~9分割(週3×3週)、15分割(週5回×3週)、30分割(1日2回で週5回×3週)などの頻回照射まで、状況に合わせて治療計画がたてられます。
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特別な治療用装置やそれを設置できる専用施設、また治療用の放射線装置を扱うには資格と技術を持ったエキスパートも当然必要になります。放射線発生装置ひとつを取っても色々な種類があり、その効果も異なっていますから腫瘍によっては特定の装置しか有効でない場合もあり、どの種類の装置でも利用できるわけではありません。
九州内では高エネルギー放射線装置による治療可能な施設があるため、紹介治療を行なっています。 ![]()
以上のような理由から、かなり治療費用がかかるということが言えます。 |
その他の治療方法![]()
使用する方法や物質はペットの免疫系を介して作用したり、腫瘍細胞自身あるいは腫瘍の環境に直接作用することにより変化をもたらします。さまざまな方法と物質、薬剤が存在し、そのため効果や副作用はさまざまです。その多くがまだ研究段階にある現状です。身近で実用性のあるものとしては非ステロイド系抗炎症剤や自然食品系(アガリスク茸、サメ軟骨等)などが挙げられます。利点として自然食品系は副作用も無く安全に使用できると言えますがその効果は明確でなく、継続して使用することも望まれるため比較的費用がかかるのが欠点でしょう。
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一定時間組織の温度を上げる(42℃~50℃)と腫瘍細胞は障害を受けます。正常細胞は周囲の温度が上昇しても冷却できる能力を備えているため、その機能が劣る腫瘍細胞に多く影響を与えることができるのです。また、障害の程度はphが低い細胞や低栄養状態の細胞により強く生じ、癌細胞はよくその状態になっていることがあるためさらに効果が高まります。他の治療方法と組み合わせる事でより良い効果を発揮しますが実施するためにはペットの患部温度を上げるための特別な設備が必要になります。
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光増感剤、光、酸素を利用して腫瘍細胞を死滅させます。有効な方法ですが今のところ治療できる深さが数ミリメートル程に限定されています。
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液体窒素や亜酸化窒素により腫瘍を凍結し、直接的に癌細胞を死滅させたり周囲の血管を障害させることにより癌細胞への血流を遮断し障害を与えます。眼瞼、肛門周囲、口腔、皮膚の良性腫瘍(または限られた部分にしか存在していないような腫瘍)で小型(2.5cm未満)のものでは治療成果が良好です。 |
「腫瘍」について良く知ろう |
腫瘍の治療方法 (治療方法の決定1,2) |
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日本獣医がん学会 |
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