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A-20 変形卵による卵詰まりが認められた例
写真1

パンサーカメレオン(サンバーバ)
Furcifer paradalis (Sambava)

体重 41g ♀

写真2

A: 肺  B: 肝臓  C: 卵巣





写真3


C:左右卵巣  D(R):卵管(右側)  D(L):卵管(左側)  E:左右卵管の分岐部(ここで一本の産道になり、総排泄腔へと繋がる)

卵巣内の卵は感触が固めで、個々の卵を区別しづらく、集塊状になっていました。卵管は非常に発達して太くなり、一部ではかなりの膨らみを持っています。特にD(R):卵管(右側)は細い部分と太い部分の差が非常に目立っていました。


写真4

左右卵巣、卵管を摘出したもの。D(R):卵管(右側)の太さの変化に注目。青矢印:総排泄腔への合流方向。

写真5

卵管を開いたところ。右側卵管の膨らみには2個の卵が存在していました。

写真6

X:卵巣側の卵  Y:排泄腔側の卵  
X、Yは同じ右卵巣側の卵ですが、大きさにかなり違いがあります。また、Yはソフトカプセル様の弾力性のある卵殻が形成されていましたがXの表面は柔らかく剥がれやすい物質で覆われており、正常卵殻ではありません。

写真7

X卵を割ってみると、柔らかい物質が何重にも層状に形成されていることが分かりました。卵殻は、卵巣を通過している過程で卵管から分泌される物質により卵が包まれ、形成されますが、その過程で異常が生じ、正常な卵殻のカプセルができなかったようです。正常な卵殻ができず、柔らかかったり凸凹の表面の卵であると、卵管内をスムーズに移動できず、結果として卵詰まりを生じてしまいます。正常な卵殻を形成できない原因の大きなものとして、カルシウム不足を含めた母体の栄養状態によるものが挙げられるでしょう。カルシウムを例に取れば、卵殻を形成する材料として必要なだけでなく、筋肉を動かすためにも必要な栄養素です。これが不足すると、卵管が卵を送り出す運動も正常に行うことができなくなり、卵が停滞する原因になります。



     写真8 右卵巣とその割面                    写真9 左卵巣とその割面
右卵巣は個々の卵の区別が分かりにくく、割面を見ると大きな塊状になっていました。さらに、卵黄は柔らかい固形部分と液体部分から成り、半熟ゆで卵の黄身のようです。左卵巣は、卵黄の区別が外見からも可能であり、割面を見ても通常の卵のように卵黄は液体のままでした。



写真10
消化管内に寄生していた吸虫虫体。
写真11
吸虫虫体を顕微鏡の低倍率で観察したもの。体内に見える多数の粒状物体は卵。
写真12
便中に認められた吸虫卵。


写真13

消化管内に寄生していた線虫虫体。2cm程度の長さ。

写真14
虫体拡大。便中にはこの寄生虫虫卵らしきものは見つかりませんでした。




写真15

消化管、卵巣卵管を除去した後の腹腔内。

写真16
腎臓の拡大。


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